丸留物語第10話 2室の住人 サトウさん

丸留物語

この物語はフィクションです。

突然の部屋移動

6室から2室へと引越し

元々6室は少し狭いので人数調整の為の部屋移動だ

2室の扉が開かれる

中には2名の住人がニヤニヤしながらこっちを見ている

お邪魔します。

部屋は畳1枚分が自分のスペース

入口から近いところと奥の便所側とその間に挟まれる形のスペース

入口側が1番人気

1番に外に出れるし畳と入口全面金網の間に板張りがあってスペースが少し広いからだ

次に奥の便所側、隣に壁があると安心するからだ

真ん中は両サイドに人が居るから気を使う

寝る時横向いて隣の人間の顔があるとなんか嫌だ

暗黙の了解で隣の人を向かずに就寝するルールだ

3番目に入ってきた私は当然真ん中が居場所になる

2人とも運動の時に喋った事がある

陽気な50代のおじさんと

20代前半のヤンキーだ

50代のおじさんはサトウさん

「やぁいらっしゃい」

どうも

サトウさんは俗に言う懲役太郎

何度もパクられてるから逮捕後の流れなんかを教えてくれる

留置所での過ごし方

拘置所での過ごし方

刑務所での過ごし方

パクられて気になるのが起訴されるか不起訴か

執行猶予が付くかつかないか

実刑なら何年くらうか

懲役太郎先生が丁寧に教えてくれる

今回は飲み屋で喧嘩してパクられたらしい

直ぐに出れるそうだ。

もう1人のヤンキーは恐喝でパクられてる

被害弁済して不起訴もしくは執行猶予だろう、彼も直ぐに娑婆だ。

サトウさんからは懲役での過ごし方を聞いた。

刑務所で違反をすると懲罰を受ける、7日くらい独居で日中はあぐらをかいて座ったまま正面をみるらしい。

暇すぎて目の前の畳のめを数えるそうだ。

1日に3食の食事しかないので夜お腹がすく

パンが出た時はそれを潰して隠し持っておき夜それをかじるそうだ。闇パン

府中刑務所はパン工場があるからパン旨い

北海道は飯が美味いし暖房も効いてる

千葉刑務所はデカいワラジカツがメニューにある

刑務作業するなら炊場(ご飯を作る工場)がおすすめ。

仮釈放は3ピン4ピン5ピンといった基準がある

刑務官との接し方

色々丁寧に教えてくれた。

そんなサトウさんに今回出たら何したいか聞くと

軽バン持ってるからそれで日本一周したいとの事

でもお金がないそうだ。

「大丈夫ですよ、畑とか漁港に行ってソレ食べれるんですか?って愛想良くしたらお裾分けしてもらえますから」って言ったら真面目な顔で感謝された。

彼はやる気だ。

サトウさんの1日はこうだ。

朝顔洗って

朝食、ご飯を食べる前にはいただきます、食べ終わったらいただきました。

てか、みんないただきましたって言う。

その後運動という名のタバコと他の房の住人と雑談。

部屋に戻る前に自分のロッカーから本やノートを持って部屋に入る。

そこからは調べが無い限り就寝前の布団取りに行くまでずっと房の中

サトウさんは房に戻ると筋トレを始める

腹筋する時は足を押さえてあげる

50代なのに腹筋が割れてる

その後おもむろに週刊実話を片手に便所へ向かう

「ちょっとかがんでくるわ」

便所の水を絶えず流している

週刊実話のグラビアをみながらぬいているのだ

その後は自分で作ったナンプレ

便箋で作ったオセロ

まだ見ぬ日本一周についての夢を語り

過去の懲役の講義をしてくれる

不思議と娑婆での話は無かった

だから娑婆で何をしてる人なのか知らないまま釈放されていった。

サトウさん

日本一週の夢は叶いましたか?

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