丸留物語第7話 檻からの景色

丸留物語

留置場の房は6部屋ある

1部屋に3人が定員だ

畳一畳分が1人のスペース

奥にトイレがある

昔はトイレに壁が無かったけど今は壁に覆われている

水も自分で流す事ができる

就寝時間中は水を流す事が出来ない

強制的に流せないように元栓をストップされている、うるさいからだろう

部屋の中に持ち込めるのは支給されたペラペラの茶色い毛布、本3冊、ノート、ボールペン、写真数枚、便箋くらい。

服は自分の私物でいいけどフード次はNG紐がついてるものは全て外される。

房の入口と反対側、房の奥に小窓がある

房の裏側には細い通路がある、その通路を挟んで窓があって日中は開けてある

その窓から外が見れる。

高い位置なので外の誰かと目が合うとかは無い、外からは暗くてこっちが見えないだろう。

娑婆が懐かしい。

まだパクられて数日なのに

日曜日で取り調べもない

土日は運動も無い

だからタバコも吸えない

時間を持て余す

同じ房の住人と話す

50代サラリーマン

ラジコンを万引きして捕まったらしい

何度も万引きしてきたから起訴されたそうだ

会話がつまらない

ここではお互いの事を番号で呼んだり名前で呼んだりする

番号で何番さんとか呼び合う人とはあまり会話が続かない

もう1人の若者も窃盗犯、根暗なタイプだ

面白い話を引き出そうとしても出てこない。

「俺リストカットとか抵抗なく出来ます」

そうなん?痛く無いん?腕見せて!

そこには傷ひとつない手首が、、、

まともな奴はいないのか!

他の房には話の合う奴が数人居る

運動の時に仲良くなった

房の中から担当台が見える

担当台から全ての部屋が見えるようになってる

天井は高い、学校の天井みたくあみだくじみたいなやつだ

壁は頑丈なコンクリート

入口は鉄格子に金網

暇を潰す為に本をひたすら読む

時たま立ち上がって遠い景色を眺める

鼻がムズムズする

もうすぐ花粉の季節だ

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